大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

神戸地方裁判所 昭和48年(わ)923号 判決 1974年4月30日

本店所在地

神戸市生田区明石町三二番地(明海ビル三階)

押本海事工業株式会社

右代表者代表取締役

押本金治

本籍

千葉県安房郡白浜町白浜三五五九番地

住居

神戸市 区城の下連三丁目八番一号

会社役員

押本金治

大正一三年一月一三日生

右両名に対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官 出席のうえ審理をし、次のとおり判決する。

主文

被告人押本海事工業株式会社を罰金三〇〇万円に、

被告人押本金治を懲役六月に、各処する。

被告人押本金治に対し、この裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人押本海事工業株式会社(以下被告会社と言う)は、神戸市生田区明石町三二番地(明海ビル三階)に本店を置き港湾荷役等を営業目的とする会社であり、被告人押本金治は被告会社の代表取締役社長でその業務全般を掌理しているものであるが、被告人押本金治は、被告会社の業務に関し、その法人税を免れようと企て

第一、昭和四四年一〇月一から昭和四五年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額は金三五〇二万五三一三円で、これに対する法人税額は金一二四五万六九〇〇円であつたのにかかわらず、収入の一部を簿外に除外しこれを架空名義の定期預金とするなどの不正の方法により所得の一部を秘匿したうえ、同年一一月二六日、所得の神戸税務署において、同署長に対し、同事業年度における被告会社の所得金額が金一八五四万七四五八円でこれに対する法人税額が金六四〇万一二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて、偽りその他不正の行為により同事業年度の法人税六〇五万三七〇〇円を免れ、

第二。昭和四五年一〇月一日から昭和四六年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額は金二七五〇万一〇九二円で、これに対する法人税額は金九六七万八〇〇〇円であつたのにかかわらず、前同様の不正の方法により所得の一部を秘匿したうえ、同年一一月三〇日、前記神戸税務署において、同署長に対し、同事業年度における被告会社の所得金額が金一三九〇万六〇七円でこれに対する法人税額が金四六七万九六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて、偽りその他不正の行為により、同事業年度の法人税四九九万八四〇〇円を免れ、

第三、昭和四六年一〇月一日から昭和四七年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額は金三一五八万九九一七円で、これに対する法人税額は金一一一七万五六〇〇円であつたのにかかわらず、前同様の不正の方法により所得の一部を秘匿したうえ、同年一一月二八日、前記神戸税務署において、同署長に対し、同事業年度における被告会社の所得金額が金一八二七万六九八三円でこれに対する法人税額が金六二八万三一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて、偽りその他不正の行為により、同事業年度の法人税四八九万二五〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全部につき

一、被告会社代表者兼被告人押本金治の当公判廷における供述

一、被告会社代表者兼被告人押本金治の検察官に対する供述調書

一、被告会社代表者兼被告人押本金治の大蔵事務官に対する昭和四八年四月三日付、同年六月八日付、同月一八日付、同年七月一六日付(二通)、同月二三日付(二通)、各質問てん末書

一、被告会社代表者兼被告人押本金治作成の同月一六日付(但し、枚数が一九枚の分)、同月二三日付、各確認書

一、橋本明子の大蔵事務官に対する質問てん末書四通。

一、松本正雄(二通)、 谷壬七(昭和四八年三月二三日付)、原田弘章、北村孝、浜田昌司、渡辺良之、中村薫(昭和四八年三月二三日付)作成の各確認書

一、滝川宣良作成の確認書(但し、枚数が四八枚の分)

一、溝本昇三作成の確認書(但し、枚数が一二枚の分)

一、大蔵事務官作成の現金預金有価証券書現在高検査てん末書

一、大蔵事務官作成の調査書二通(一通は除外収入関係、一通は銀行関係)

一、登記官作成の被告会社に対する登記簿謄本

一、被告会社代表者押本金治作成の証明書(被告会社の定款写添付)

一、押収してある請求書一綴(昭和四九年押第四八号の二一)、定期預金元利金計算書(一九枚入り)一袋(同号の二六)、定期預金利息計算書一綴(同号の三三)、前川照子宛領収書一枚(同号の三四)、請求書五枚(同号の四〇)、領収書三枚(同号の四一)、作業証明書五枚(同号の四二)、振替伝票支出経費依頼伝票八枚(同号の四三)

判示第一事実につき

一、土居正明、坂本浩太郎、安田栄、香山明子(二通)、片山富一、 谷壬七(昭和四八年六月五日付)、中村薫(同年三月二七日付)、藤田民夫、板東政秋作成の各確認書

一、藤田柳吾、吉田誠作成の各回答書

一、被告会社作成のデビツトノート写二通

一、大蔵事務官作成の証明書(神戸税務署昭和四五年一一月二六日受理の被告会社の確定申告書写添付)

一、大蔵事務官作成の脱税書計算書(自昭和四四年一〇月一日至昭和四五年九月三〇日)

一、押収してある総勘定元帳(二〇期)一綴(昭和四九年押第四八号の一)、借方貸方補助簿(二〇期)一綴(同号の四)、経費期細書(二〇期)一綴(同号の七)、出勤簿(昭和四四年度)一綴(同号の一二)、賃金台帳一綴(同号の一六)

判示第一、第二事実につき

一、福井祥二、多田稔、岡崎房夫作成の各確認書

一、滝川宣良作成の確認書(但し、枚数が八九枚の分)

一、北村孝作成の追加報告書

一、押収してある賃金台帳兼所得税源泉徴取簿(昭和四五年度)(昭和四九年押第四八号の九)、出勤簿(昭和四五年度)(同号の一三)、印鑑一七個(同号の一八)、請求書領収書一綴(同号の二二)、大学ノート一冊(同号の二三)、定期預金計算書(六枚)一綴(同号の二九)、定期預金利息計算書一綴(同号の三一)、貸出禀議書関係綴一綴(同号の三五)

判示第二事実につき

一、永田収、荒西俊次、吉田門次郎、秋田好美、正司勇、高橋瑞枝、栃原徹、得能俊康作成の各確認書

一、溝本昇三作成の確認書(但し、枚数が一三枚の分)

一、株式会社第一勧業銀行本店営業部作成の回答書

一、被告会社作成の昭和四六年八月一〇日付領収書写

一、大蔵事務官作成の証明書(神戸税務署昭和四六年一一月三〇日受理の被告会社の確定申告書写添付)

一、大蔵事務官作成の脱税額計算書(自昭和四五年一〇月一日至昭和和四六年九月三〇日)

一、押収してある総勘定元帳(二一期)一綴(昭和四九年押第四八号の二)、借方貸方補助簿(二一期)一綴(同号の五)、経費明細帳(二一期)一綴(同号の八)、印鑑一個(同号の一七)、定期預金利息計算書(二枚入り)一袋(同号の二四)、定期預金利息計算書等(三〇枚入り)一袋(同号の二五)、定期預金利息計算書一綴(同号の三二)、金銭出納帳一冊(同号の三六)定期預金計算書(一五枚)一綴(同号の三七)

判示第二、第三事実につき

一、岸部由美子、村上尚作成の各確認書

一、押収してある賃金台帳兼所得税源泉徴収簿(昭和四六年度)一綴(昭和四九年押第四八号の一〇)、出勤簿(昭和四六年度)一綴(同号の一四)、貸金庫手数料領収書一枚(同号の二七)定期預金元利金計算書一綴(同号の二八)

判示第三事実につき

一、被告会社代表者兼被告人押本金治の大蔵事務官に対する昭和四八年八月二日付質問てん末書

一、被告会社代表者兼被告人押本金治作成の確認書(但し、枚数が四枚の分)

一、山本裕通、石原佐記男、淀井重助作成の各確認書

一、三菱信託銀行株式会社証券代行部作成の回答書

一、東洋信託銀行株式会社証券代行部作成の回答書

一、大蔵事務官作成の調査書(株式関係)

一、被告会社作成の昭和四七年一月二五日付領収書写

一、大蔵事務官作成の証明書(神戸税務署昭和四七年一一月二八日受理の被告会社の確定申告書写添付)

一、大蔵事務官作成の脱税額計算書(自昭和四六年一〇月一日至昭和四七年九月三〇日)

一、押収してある総勘定元帳(二二期)一綴(昭和四九年押第四八号の三)、借方貸方補助簿(二二期)一綴(同号の六)、賃金台帳兼所得税源泉徴収簿(昭和四七年度)一綴(同号の一一)、出勤簿(昭和四七年度)一綴(同号の一五)、請求書領収書一綴(同号の一九)、領収書(一一枚)一綴(同号の二〇)、定期預金利息計算書一綴(同号の三〇)、計算書等(一三枚)一綴(同号の三八)、定期預金元利金計算書等(一六枚)一綴(同号の三九)

(法令の適用)

被告会社に対し

法人税法第一五九条第一項、第一六四条第一項、刑法第四五条前段、第四八条第二項

被告人押本金治に対し

法人税法第一五九条第一項(懲役刑を選択)、刑法第四五条前段、第四七条本文、第一〇条(犯情の最も重いと認める判示第一の罪の刑に加重)、第二五条第一項

(裁判官 藤原寛)

右は謄本である。

昭和四九年五月一五日

神戸地方裁判所第一四刑事係乙

裁判所書記官 唐鎌宗二

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例